新・群馬県総合計画(ビジョン)
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新型コロナウイルス感染症の拡大は、全世界に想像を超えるパラダイムチェンジをもたらしました。働き方や教育を含む私たちの生活様式は、抜本的な変化を余儀なくされています。今、世界が直面する2大危機「パンデミックと気候変動」の根本的な原因は、人間活動の増大により生じた地球環境への負荷の集積です。さらにウイルスという「見えない敵」との戦いが、厳しい長期戦(持久戦)にならざるを得ないことを考え合わせると、「ニューノーマル社会」への転換は、不可逆的な流れであると言わざるを得ません。過去に経験したことのない未曾有の状況の真っ只中で、群馬県の新たな総合計画「ビジョン」策定を進めて来ました。振り返ってみると、新型コロナウイルス対策で七転八倒、悪戦苦闘しながらの作業になりました。その過程で強く感じたのは、新型コロナウイルスの脅威から県民の生命と健康、暮らしを守るために全力を傾注しつつも、今回の試練を「地方(群馬県)にとってのチャンス」と捉える柔軟かつ前向きな思考が不可欠だということです。実際のところ、ニューノーマル時代における地方の価値の再定義は、首都圏にありながら、豊かな自然と空間に恵まれた群馬県の強みを際立たせることになると確信しています。私が知事を目指したときの思いは、「このままのやり方だと群馬県は時代の流れから取り残され、間違いなく衰退の道を辿る」という危機感でした。これまで首都圏に近いという東京一極集中の恩恵に甘え、先駆けとなる一歩を踏み出せなかった「何でも中位の群馬県」から脱却しない限り、群馬の未来はないという切実な思いがありました。今回のコロナ・ショックは、生産性を高めるための改革を躊躇し、国際的な競争力を失いつつあった日本の背中を押すことにも繋がりました。菅新政権の下で、遅れていたデジタル化や規制改革の推進が加速され、世界の新たな潮流である「グリーンリカバリー」(温暖化対策と経済成長の両立)が全面に打ち出されることとなりました。知事あいさつ「誰一人取り残さず、誰もが幸福を実感できる自立分散型社会」の実現に向けて

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