新・群馬県総合計画(ビジョン)
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ドーナツ経済学:経済成長というひとつの指標にとらわれることなく、持続可能な社会を目指し提唱されている考え方。ドーナツの外側に「気候変動」や「生物多様性の損失」等の環境指標を9つ、ドーナツの内側に「健康」や「教育」等の社会的指標■ つを配し、環境指標に行き過ぎや使いすぎがあればドーナツの外側に赤色で表示され、社会指標に不足があればドーナツの内側に赤色で表示される。環境や社会に問題があるときれいなドーナツにならず、外側や内側に赤色が広がったいびつな形になる。66参考)幸福とは何か◇幸福とは何か、その答えはそもそも人によって異なり、行政が決めつけるものではありません。しかし、誰にとっての幸福なのかという視点は、整理する必要があると考えます。そこで、私たちは3つの視点から幸福を整理します。◇経済が右肩上がりで成長していた時代の一人ひとりの幸福には、ある程度決まった型がありました。終身雇用を前提にした仕事と標準的な家族の形、それぞれの役割に応じた幸福のひな形のようなものがありました。しかし、現代では、これらの前提が崩れ、価値観は多様化しています。一人ひとりにとって幸福のあり方は多様であり、一人のひとの中にも複数の幸福のあり方が共存しているのではないでしょうか。◇社会全体の幸福についてはどうでしょうか。20世紀の捉え方では、社会への参加者には「中高年の男性」のような決まった型が暗黙の前提になっていました。現代では、県民総活躍に見られるように、参加する主体の多様化が求められています。「県民」という概念も、従前は居住者・出身者に限定されがちでしたが、これからは、外国人や関係人口なども含めた包括的な概念で捉えていく必要があります。◇将来世代の幸福についてはどうでしょうか。常に目の前の成長や配分の最大化を目指してきた ■世紀の捉え方では、そもそも将来世代の幸福について考える余地がありませんでした。今後は、未来の県民の幸福も考え、エネルギーや食、健康や社会的平等などの様々な事象ごとに社会や環境への影響を考えるドーナツ経済学■の観点を取り入れ、バランスのとれた成長を目指す必要があります。

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