- 動き始めた人とアイデア -

インタビューレポート④~おぜのさと倶楽部(片品村・六本木ユウジさん)~

未来共創ワークショップから生まれたアクション ④
つながりを醸す未来「つどいの湯」 おぜのさと倶楽部(片品村・六本木ユウジさん)

《 背景 》
 群馬県が目指す未来を記した「新・群馬県総合計画」。その柱のひとつに産学官民が多様な分野で連携し、地域の課題の解決を目指す「官民共創コミュニティ」があります。その実現に向けて、令和3年度より始まった「未来共創ワークショップ」。官(=県や市町村などの行政)と民(=地域住民や企業等)が、それぞれの立場を越え、共にテーブルを囲み、地域の想いや実情に寄り添いながら、地域の課題解決に取り組む。そんな関係を紡いでいくことを、このワークショップでは目指しています。
 また合わせて、話し合いがスムーズに進むように県と市町村職員にファシリテーション技術を学んでもらう研修も実施。そうすることで継続的に地域を支援できる体制づくりを行っています。

 今回は、未来共創ワークショップで生まれた未来の芽(アイデア)を実現している方々にインタビュー。未来共創ワークショップはどんな場だったのか、ワークショップ後アイデアの実現に向けてどんなことを考え、どんな行動をされたのか、官民共創のポイントをお話いただきました。
 第4弾にインタビューさせていただいたのは、群馬県で精力的に活動する六本木さん。未来共創ワークショップで生まれた、片品村に住んでいる方や想いをもつ方が自由に話し合える場「おぜのさと倶楽部」を仲間とともに定期的に開催してきました。どんな想いで取り組んでいるのか、お話をうかがいました。

Q . 地域活動に大変尽力されている六本木さん。どんな経緯で今に至るのですか?

 1980年、群馬県沼田市で生まれました。私の母の地元がその隣の尾瀬の郷片品村、父の地元は県都前橋市ですが家業を同村で行なっていたこともあり、生まれついての二拠点生活でした。県内地域への関わりとしては、25歳の頃(2005年)から前橋市で「まち」づくりに12年くらい、それに並行して父方のばあちゃんの地元高崎市でも5年くらい同様に活動をしていました。  
 2011年に起きた地震の被災者支援を機に片品村を含む利根沼田・北毛地域で「さと」や「やま」に関わる活動を始め、現在に至ります。

▲ 東アジア等、世界の友人たちと多文化共生&共創にも取り組む
Q . ワークショップで「おぜのさと倶楽部」というアイデアはどんな経緯で生まれ、活動が始まったのですか?

私たちのグループは、「地域の資源を活かした住み続けたい村づくり〜 移住・定住・定着のために〜」という村全体を広く捉えることのできるテーマで話し合いをしました。
 ワークショップでは、2040年の片品村の未来像を思い浮かべました。加速度的な人口減少(2023年4065人、2040年には約2200人、2060年には1000人を割り込む見込み)をはじめとする課題・問題の多様化・深刻化によって、今までの考えや体制のまま村づくりを続けていくのは厳しい状況になっていることが危機として共有されました。その時、私は60歳になっています。次世代につなげていくには「今」が前向きに取り組める最後のチャンスだと感じました。
 そこで民と官、村の中の人と外の人が交流できたり、一緒に中長期プロジェクトにも取り組める「人」が中心のプラットフォームがつくれないかという意見が集まり、生まれた未来共創のアイデアのひとつが「おぜのさと倶楽部」でした。
 早速、ワークショップ終了後に倶楽部実現のため、私からグループのみなさんに呼びかけをしました。ファシリテーターの小林俊造さん(群馬県庁職員)とは地域活動でご一緒したことがあり、官側の呼びかけは小林さんにお願いをしました。そして、民側は普段から村づくりで活躍されている小石俊一さん、斉藤敦さんにも呼びかけ人に加わっていただき活動をスタートしました。

▲ 未来共創ワークショップの様子
Q . 実現に向けてどうして自ら動こうと思われたのですか?

 実はこれまでも行政発の事業で官と民の学びや話し合いの場に参加したことがありました。しかしその場合、話し合いそのものが目的になってしまったり、政策が切り替わると終わってしまったり、その先の未来にいくことができなかったんです。そんな経緯もあり、県がはじめてくれるのを待つより自分たちで進めていこうという意識がありました。加えて、私たち運営メンバーだけで活動するのではなく行政や村外の人も参加しやすいように、声かけをしたり、役割を分担したり、オンライン開催にするなど挑戦を楽しみながら試行錯誤しています。

▲ おぜのさと倶楽部オンラインの様子
Q . 定期的に開催されているおぜのさと倶楽部。どんな様子ですか?

現在はワークショップに参加したメンバーを中心に周りに呼びかけて集まっています。そこに今回のワークショップを企画した県庁の方やissue+designの方が加わり、これからどうしていくのか、どんな場にしていきたいのか、お互いの意見を交換しています。みなさん個々に楽しそうな活動をしているので、ミーティングの初めにはそれぞれがどんなことをしているのか近況報告から始まって…和気あいあいと、でも真剣に話すところは話して、という感じでいい雰囲気で進んでいます。それにより、新たな関心やつながりが生まれ各自のプロジェクトへ参加しあうなど段々と広がりを見せています。

▲ 利根沼田フューチャーダイアログで沼田市長 星野稔さん、拓殖大学教授 山本尚史さんと。

Q . 今後について、どんなことをしていきたいのか展望はありますか?

 まず一歩目として、昨年12月に群馬県と倶楽部がコラボで「おぜのさとシンボルづくり」を村内で行いました。上記のプロジェクトを通じて、倶楽部メンバーになってくれた尾瀬高校「地域おこし隊」の泉田惺斗さんや代田和さんらに中心となってもらいシンボルマークのお披露目を兼ねた交流イベントを開催予定です。今後はその様におぜのさとに想いを持つ若者を中心とし、次世代の人たちの活動を支援していきたいと考えています。具体的な支援としては、尾瀬高校の「地域おこし隊」の活動、そして片品村地域おこし協力隊OGの中村茉由さんが中心となって動き出し始めている、ふるさと共創事業組合「オゼギルド」の実現です。
 加えて、おぜのさと倶楽部以外にも未来共創ワークショップで生まれた素晴らしいアイデア、ご一緒した利根沼田地域の交流などを力を合わせてひとつ一つ実現していきたいと思っています。

▲おぜのさとシンボルづくりワークショップ

「誰か」を待つのではなく、「自分」から動く。民と官、村の内にいる人、外にいる人、それらが調和し、村に想いを持っている人が集まり活動できるフラットな場をつくる。そんな密度が濃く、熱い想いを持った人がつくる片品村の未来が楽しみです。

■六本木ユウジさんのプロフィール
「やま・さと・まち」の地域活性化に関わるプロジェクトデザイナー。 現在、群馬県を『山育®︎(Yamaiku)』の聖地にするべくプロジェクトを始動し、群馬イノベーションスクール(10期生)にてそのスタートアップに挑戦中。 その他にもぬまた起業塾2期生で、社会事業家プラットフォーム「N3(エヌスリー)」代表、民と官による未来共創コミュニティ「おぜのさと倶楽部」やお茶のみ友だちコミュニティ「北毛茶会」呼びかけ人などを務める。

※ これは、2023年5月22日(月)時点の内容です。

「自分も地域でこういった活動をやってみたい!」、「官と民とで共創して地域課題に取り組みたい!」、「○○さんと一緒に取り組みたい!」 など、県の官民共創事業や六本木さんの活動に興味のある方は群馬県未来創生室までご連絡ください。 みなさまからのご連絡をお待ちしております。 

このレポートに関するお問い合わせ
群馬県 知事戦略部 戦略企画課 未来創生室
〒371-8570前橋市大手町1-1-1
TEL:027-226-2313