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インタビューレポート⑧~ ぐんまSDGsプロジェクト!17色のひもかわうどんづくり!(加藤浩子さん) ~

未来共創ワークショップから生まれたアクション ⑧
ぐんまSDGsプロジェクト!17色のひもかわうどんづくり!(加藤浩子さん)

<背景>
 群馬県が目指す未来を記した「新・群馬県総合計画」。その柱のひとつに産学官民が多様な分野で連携し、地域の課題の解決を目指す「官民共創コミュニティ」があります。その実現に向けて、令和3年度より始まった「未来共創ワークショップ」。官(=県や市町村などの行政)と民(=地域住民や企業等)が、それぞれの立場を越え、共にテーブルを囲み、地域の想いや実情に寄り添いながら、地域の課題解決に取り組む。そんな関係を紡いでいくことを、このワークショップでは目指しています。
 また合わせて、話し合いがスムーズに進むように県と市町村職員にファシリテーション技術を学んでもらう研修も実施。そうすることで継続的に地域を支援できる体制づくりを行っています。
 今回は、令和3年度の未来共創ワークショップで生まれた未来の芽(アイデア)を実現した方にインタビュー。未来共創ワークショップはどんな場だったのか、ワークショップ後にどんな行動をされたのかなどを、「キッチンの科学プロジェクト(KKP)」講師加藤さんにお話を伺いました。

Q.未来共創ワークショップに参加した背景・感想を教えてください
 家庭科教員をしています。家庭科の授業では地域のまちづくり、SDGsといったテーマを扱うので、まちづくりに実際にどう活かして実践するのかを体感してみたいという知的好奇心がきっかけでした。またSDGsについても当時は漠然とした思いしかなく勉強したいという思いもありました。今思い返しても恥ずかしいのですが、SDGsについては他人事で、心のどこかしらに意識高い人がやる・・自分にはあまり貧困など関係ない、と思っていたほどでした。

Q.17色のひもかわうどんづくり開催にあたっては、まずは関係者のみを集めたプロトタイピング形式での実施、その後一般の参加者を募っての実施と言うことになりましたが、それぞれで一番印象に残っていることは何になりますでしょうか。
 食育の団体に携わっており、小中学生の親子をメインとして、料理教室や科学実験教室の食育イベントを開催しています。その中ではすぐに実施開催することが多いのですが、今回は県主催ということもあり、プロトタイピング形式での実施を行いました。特にコロナ禍で打ち合わせがオンラインだったことや、そもそも企画の背景や個々人の考えのすり合わせに少しばかり違いが生じていました。一度関係者でそれぞれの想いを共有することで、異なる立場の人たちと考えを擦り合わせたり、より良い企画にするためにはどうすれば良いか考えたり、とイベントをより効果的なものにすることができたのでよかったと考えています。

▲完成したうどんを持つ加藤さん(前列中央)

Q.17色のひもかわうどんづくり開催にあたり様々なご苦労があったかと思いますが、どのようなことが大変だったでしょうか。
 役割分担の明確化、主導権でしょうか。正直初めは声をかけられた時に、自分がどの立場でどう関わっていいのかわかりませんでした。具体的に説明すると、私が求められているのはうどんのレシピだけなのか、食育プログラムを全て設計していいのか、参加者のディスカッションのデザインも設計していいのか、これらについて正直自分から聞かずに全体の動きを見ていたのも事実です。
 群馬県庁、桐生市役所、老舗うどん屋さん、ワークショップデザイナーさん、そして食育団体の私と、多数の人が関わり、しかも日頃それぞれが別の仕事を持って生活リズムもバラバラな中で、限られたオンラインミーティングの時間で、どうやって意識や考えを一つにしていくかは大きな課題でした。
 一度は壁にぶつかったものの、一度この企画に関わるモチベーションや背景を擦り合わせたことがきっかけで、それを元に個々の役割が明確になり、自分にできることをやっていこう、といって、一つの企画にすることができたと考えています。

Q.官民共創の文脈で今後取り組んでみたいことはありますでしょうか。
 自分自身が子育て中(4歳、2歳、0歳)ですので、子育て支援や子育てに優しいまちづくりは当事者としての問題と感じています。
 子供の貧困や教育格差だけではなく、ワークライフバランス、子育てと仕事のバランス、男性の家事育児からフードロスまで様々なジャンルに及びます。
 ただ問題意識を高めるだけでなく、自分に何ができるか、活かすことを考えてはいます。
子育て支援センターや児童館で出会うママ友さんで、育休中の方ではたくさんのキャリアや経歴、スキルを持っている方も多いので、うまく活かしながらまちづくりに応用できないかとも考えています。
 また食育の団体として、未就学児向けの料理教室や防災食にも取り組みたいとも思っています。別の視点では、私がそうだったように、「官民共創」の言葉自体をしっかりと理解や認識していない人が多いので、官民共創の魅力、関わるメリットやSDGsについて伝えていくこともしていきたいと思っています。

▲天然の色素を使ってうどんに着色(右から1番目)

Q.令和3年度に未来共創ワークショップにご参加いただきましたが、今年度(令和5年度)も再びワークショップにお申し込みをいただきました。なぜ今年もワークショップに参加しようと思ったのでしょうか。
 令和3年度では、勤務先である桐生エリアにおいて、「コロナ禍での子どもの居場所づくりのあり方」に参加しました。その中でグループのメンバーの価値観の相違、限られた時間などがあり、力不足で何か直接の形に結びつけることができませんでした。その時の悔しさはずっと心の中に残っていました。
 そんな時に目に止まったのが、今回の太田・邑楽館林地域での開催情報です。私自身が生まれも育ちも太田市で、大学進学や就職で一度は上京したものの、結婚、子育てのため転職して太田に戻ってきました。そこで初めて地元の良さを実感し、より太田を広めたいという思いが根本的にありました。今回は、テーマとして「地域の強みを活かしたリトリート3泊旅プランづくり」に携わります。そこでは、自分の過去の経験を振り返り、独身時代に都内でOLをしていた視点、旅が好きな視点、太田に帰ってきてから気づいた地元の良さの視点などを取り入れて、メンバーと力を合わせて形にしていきたいと今からワクワクしています。

▲R5ワークショップに参加する様子(右から2番目)

Q.官民で連携して地域における課題に挑戦したいと思っている人へメッセージをお願いします。   
 一人一人の力がきっと力になるので、ぜひ積極的に挑戦して欲しいとエールを送ります。
 きっとさまざまな考えがある中で自分の経験談があります。前回令和3年度の官民共創のワークショップに参加して、初めてそこで行政の抱える問題を知り、問題意識も共有することができました。そこで初めて民としての自分は果たして何ができるか、自分が気づいていないだけで自分が持っている強みは何か、まちづくりに活かすことができるかといったスタートラインに立つことができました。誰一人取り残さない世界の実現には、一人一人の力が必要ははずです。そのためにも自分ができることと、行政含めて社会が求めていること、問題意識の把握と共有も重要なことの一つではないかと考えています。

加藤浩子さんのプロフィール
群馬県太田市生まれ、太田市在住。
太田市内小学校教諭(産休育休中)中学校・高等学校教諭一種免許状(理科)・(家庭科)、子ども向け食育団体「キッチンの科学プロジェクト(KKP)」講師、キッズキッチンインストラクター、国際薬膳師・国際薬膳調理師、他 漢方薬の製薬会社(営業)の勤務や、持病(摂食障害の経験)を経て食の大切さを伝えたいと教員の道へ

「自分も地域でこういった活動をやってみたい!」、「官と民とで共創して地域課題に取り組みたい!」、「○○さんと一緒に取り組みたい!」 など、県の官民共創事業や加藤さんの活動に興味のある方は群馬県未来創生室までご連絡ください。 みなさまからのご連絡をお待ちしております。  

このレポートに関するお問い合わせ
群馬県 知事戦略部 戦略企画課 未来創生室
〒371-8570前橋市大手町1-1-1
TEL:027-226-2313