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インタビューレポート②~妙義ふるさとマルシェ(富岡市・西尾 祐諄さん)~

未来共創ワークショップから生まれたアクション ②
おいしい未来「もぐもぐの湯」妙義ふるさとマルシェ(富岡市・西尾 祐諄さん)

 《 背景 》
 群馬県が目指す未来を記した「新・群馬県総合計画」。その柱のひとつに産学官民が多様な分野で連携し、地域の課題の解決を目指す「官民共創コミュニティ」があります。その実現に向けて、令和3年度より始まった「未来共創ワークショップ」。官(=県や市町村などの行政)と民(=地域住民や企業等)が、それぞれの立場を越え、共にテーブルを囲み、地域の想いや実情に寄り添いながら、地域の課題解決に取り組む。そんな関係を紡いでいくことを、このワークショップでは目指しています。
 また合わせて、話し合いがスムーズに進むように県と市町村職員にファシリテーション技術を学んでもらう研修も実施。そうすることで継続的に地域を支援できる体制づくりを行っています。

 今回は、令和3年度の未来共創ワークショップで生まれた未来の芽(アイデア)を実現している方々にインタビュー。未来共創ワークショップはどんな場だったのか、ワークショップ後アイデアの実現に向けてどんなことを考え、どんな行動をされたのか、官民共創のポイントをお話いただきました。
 第2弾は、2019年に富岡市へ移住して「珈琲焙煎所 月とゆふづつ」「古民家カフェ桑庵」を経営している西尾祐諄さん。未来共創ワークショップ終了後の4月に、なんと約1,300人が訪れた「妙義ふるさとマルシェ」を開催しました。どうしてこのスピード感で多くの人を集めるイベントを開催できたのか、プロジェクトの経緯をうかがいました。

Q . ワークショップを終えての感想を教えてください。
 (西尾さんの参加の経緯が、突然、群馬県庁の小野里さんから電話でアプローチをしたことで実現したと聞きましたが)すぐに「いいですよ」と返事をしました。移住した側なので、協力できるところは協力したいと思っていました。ただ、この取り組みを聞いた時はびっくりで。「官民一体でワークショップなんてやれるの?すごいな。」、それが率直な感想でした。でも参加してみて、とてもおもしろかったです。

Q . ワークショップで「妙義ふるさとマルシェ」というアイデアはどんな経緯で生まれたのですか?
 ワークショップの前から、妙義山を盛り上げようというプロジェクト「妙義プロジェクト2022」に参加していました。妙義プロジェクトは活動してから7年くらい経ちますが、話し合いしかできていなかったんです。しかし、その話し合いの場で、妙義ふるさと美術館でコーヒーの提供などをしたいと言ったところ、余っていた予算でミニキッチンを改造し、厨房設備は整えてくれている状態はありました。
 そういった経緯もあったので、移住した妙義エリアでマルシェをやりたいという気持ちと合わせて、美術館でやることを想定してアイデアを構想していきました。ワークショップの中でグループでアイデアをつめる作業をしていったんです。ワークショップのあと一緒のグループだった富岡市の伊藤さんに「誰も使っていない市の所有地の駐車場を貸して欲しい」と相談したところ、以前から顔馴染みの渡辺係長が来られ、「妙義山が国の名勝指定100周年だから、そこ(みょうぎふるさと美術館の広場)を使って欲しい」と言われたんです。そこで「1ヶ月先でもいいですか?」と聞き、了承を得て、とんとん拍子に話が進みました。

▲ワークショップの様子

▲ワークショップで完成したワークシート

Q . ワークショップが終了したのが3月で、妙義ふるさとマルシェが実施されたのが4月の上旬。どうしてこのスピード感でできたのですか?
 一番は、みんながやりたいという時にやらないといけないと思ったからです。周りはこれまでこういったイベントをやったことのない人ばかりでしたが、そこは私の今までの経験を生かして、お膳立てをして。主催は妙義プロジェクト2022で、共催は市役所にしてもらって、やりましょうということになりました。チラシは妙義在住の方に作ってもらい、告知には、富岡市のLINEを使いました。参加する事業者の選定はなるべく地元で新しくチャレンジをしたいという方を中心に1週間で20事業者くらいを集めました。
 個人的な意見を言うと、官民連携は個人が先走ってやって、後からついてきてくれる方が早かったりする、民間でやれる範囲でやって行政と連携できるところはする、という連携の仕方があってもいいと思います。そうして色んなチャレンジをしていれば、妙義が盛り上がって、何かやりたい移住者も集まってくると思います。

▲マルシェのチラシ

Q . 今回のチャレンジを受けて、今後についてどんなことをしていきたいのか展望はありますか?
 あとは、富岡市、下仁田町、南牧村は一つのエリアなので、そこに桐生市や太田市とかの市外の人たちに来てもらい出店者が行き来してそれぞれの魅力を発信し合うことをしてみたいです。お互いがWIN-WINになり、群馬県がより盛り上がればいいなと思っています。

 自分の実現したいことにワークショップをうまくつなげ、これまでの経験から先陣を切って行動した西尾さん。お話にあったように、一度実現したからこそ見える景色があったのではないでしょうか。開催したことによってわかったこと、できた仲間、新たな夢。一人の想いがみんなの行動を変えていく様子がうかがえました。次回の開催もとても楽しみです。

▲インタビューの様子(@古民家カフェ桑庵)

※ これは、2022年7月6日(水)時点の内容です。

■プロフィール
西尾祐諄さん 大阪市出身。東京で不動産関係の仕事に従事し、古民家を再生したカフェやシェアハウス、ゲストハウス等のプロデュースを多数手がける。2019年、富岡市へ移住し、「珈琲焙煎所 月とゆふづつ」をオープン。コーヒー豆の販売を行いながら、店舗と住居のセルフリノベーションを行っている。2022年4月、「古民家カフェ桑庵」をオープン。

「自分も地域でこういった活動をやってみたい!」、「官と民とで共創して地域課題に取り組みたい!」、「○○さんと一緒に取り組みたい!」 など、県の官民共創事業や西尾さんの活動に興味のある方は群馬県未来創生室までご連絡ください。 みなさまからのご連絡をお待ちしております。

このレポートに関するお問い合わせ
群馬県 知事戦略部 戦略企画課 未来創生室
〒371-8570前橋市大手町1-1-1
TEL:027-226-2313